東京国際エアカーゴターミナル(TIACT)とサティスファクトリーは4月23日、東京国際空港(羽田空港)での資源循環プロジェクトを2024年12月に協働で開始し、その実績を発表した。
TIACTの上屋内(国際線貨物ターミナル)で発生する廃プラスチックのリサイクルと資源循環を推進し、開始から3か月で合計4万3515kgを回収した。環境負荷の低減は、13万6637kgのCO2排出量削減に相当し、空港から生まれる新たなリサイクルモデルの確立を目指す。
航空業界では、脱炭素に向けた動きが加速し、エネルギー利用に加えて資源利用の見直しが注目されている。特に航空貨物の取扱いに伴い発生する廃棄物は、従来は焼却処理されることが多く、CO2排出の一因となっていた。そこで、適切な分別・リサイクルによって、環境負荷の改善を定量的に示すことが求められている。
成田国際空港では、2023年3月より「成田空港で資源をまた使おうプロジェクト」を通じて空港内の資源循環が進められている。その先進的な取り組みにTIACTも賛同し、資源循環の仕組みを担うサティスファクトリー協力のもと、2023年11月に検討を開始し、このプロジェクトの実施に至ったもの。
プロジェクトでは、TIACTの上屋内で排出される廃プラスチックを対象に、サティスファクトリーが資源循環のスキームを構築した。回収された廃プラスチックは再生樹脂にマテリアルリサイクルされ、これを原料に製造された再生材ごみ袋をTIACTが利用。これにより年間172トンの再資源化が見込まれる。
2024年12月のプロジェクト開始から3か月で、合計4万3515kgの廃プラスチックを回収した。これにより、化石燃料由来のバージンプラスチックを新たに使用する場合と比べ、13万6637kgのCO2排出量排出削減効果がある。これは、東京~香港間で約272トンの航空貨物を輸送する際に発生する量に相当する。
従来、このような廃棄物は焼却処理され、CO2排出量の増加に繋がっていた。しかし、今回のスキームによって資源としての再利用が可能となり、事業活動による環境負荷が軽減された。また、関係各所との連携強化により、リサイクル率のさらなる向上に向けた基盤が構築されつつある。
今後の展望として、2025年度にはさらなる資源循環の拡大を図るため、TIACT上屋内で発生する木製パレットや木くずの資源物化にも着手を検討している。今後、多品目における適切な処理と再利用に向けたスキームを構築し、廃プラスチックだけでなく、あらゆる資源への展開を検討していくとしている。
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